お知らせ

「週44時間の特例について」ご存知ですか?(2022/11/19)

特例措置対象事業場に該当すれば週44時間まで勤務しても残業になりません。

 日本の法律では、「18時間、週40時間を超えると」残業代を支給する必要があります。もちろん、1ヶ月単位の変形労働時間制やフレックスタイム制を導入している場合には、その日、その週で見ると8時間/日、40時間/週を超えても残業代を支払う必要がないこともありますが、月単位で考えるとやはり「18時間、週40時間」の縛りが出てきます。

この「18時間、週40時間」という法定労働時間を「週44時間」まで緩和してもよい「特例措置対象事業場」というのがあります。

 


特例措置対象事業場

特例措置対象事業場は、次に掲げる業種に該当する常時10人未満の労働者を使用する事業場が該当します。

商業            卸売業、小売業、理美容業、倉庫業、その他の商業

映画・演劇業        映画の映写、演劇、その他興業の事業

保健衛生業            病院、診療所、社会福祉施設、浴場業、その他の保健衛生業

接客娯楽業            旅館、飲食店、ゴルフ場、公園・遊園地、その他の接客娯楽業

上記に該当する事業場は、法律上当然に特例措置対象事業場として取り扱われます。

※届出や許可申請などの手続きは不要です。

 

労働基準法第32条は「18時間、週40時間」を法定労働時間として定めていますが、特例措置事業場については「18時間、週44時間」まで労働させることが可能です。

 常時使用する労働者

労働者数は事業場ごと(店舗ごと)にカウントします。

 全社で50人の労働者を使用していたとしても、各店舗で常時10人未満の労働者しか使用していない場合は特例措置対象事業場となります。

 同じ会社が運営している店舗であっても、常時10人未満を使用している店舗は特例措置対象事業場となり、常時10人以上を使用している店舗は特例措置対象事業場になりません。また、パートやアルバイトなどの有期契約の労働者であっても、通常の事業運営に必要な労働者であれば常時使用する労働者としてカウントします。

 ※繁忙期に一時的に雇い入れる労働者であれば、常時使用する労働者に含まれません。

 特例措置対象事業場の効果

法定労働時間を超える労働は「時間外労働」となり、36協定届(時間外・休日労働に関する協定届)の届出や割増賃金(時間外手当)の支払いが必要です。

 通常の事業場は、原則として18時間または週40時間を超えて行わせた労働が時間外労働となりますが、特例措置対象事業場は18時間または週44時間を超えるまでは時間外労働として取り扱われません。

 変形労働時間制との関係

変形労働時間制を採用している場合は、変形期間中は18時間週40時間を超えても問題ない日や週が出てきます。44時間の特例措置事業場の場合は、この週40時間を週44時間と読み替えて計算します。

 併用できる変形労働時間制は2つです。

①1ヶ月単位の変形労働時間制

②フレックスタイム制

 ◆残業時間との関係

例①

「月~金曜日が8時間、土曜日が4時間(=週44時間)」や「月~土曜日で17時間(=週42時間)」という労働時間を所定労働時間内の労働として行わせること(割増賃金ではなく通常の賃金で行わせること)が可能となります。

 例②

~土曜日全て7時間20分(=週44時間)という労働時間を所定労働時間内の労働として働かせることができます。

 例③

日曜日を法定休日として月~土に19時間ずつ労働させた場合,土曜日に4時間を超えて労働し始めた時点から週44時間超の時間外労働時間となります。18時間を超えて労働させた時間については1日ごとに時間外労働としてカウントされていますので,週44時間を超えて労働させた時間には重複してカウントしません。

    日曜日 法定休日

 月曜日 9時間(時間外労働1時間)←18時間超

 火曜日 9時間(時間外労働1時間)←18時間超

 水曜日 9時間(時間外労働1時間)←18時間超

 木曜日 9時間(時間外労働1時間)←18時間超

 金曜日 9時間(時間外労働1時間)←18時間超

 土曜日 9時間(時間外労働5時間)44時間超

 事業所のコストとして、残業代は非常に大きなものです。もし、自社が該当するのであれば、従業員様によく説明をした上で、法律で認められた制度を活用してはいかがでしょうか?